「花が照らした道を、今度は誰かの世界へ。」 フローリスト・CHISE YAMABE

「花が照らした道を、今度は誰かの世界へ。」 フローリスト・CHISE YAMABE

― まず、花の仕事を始めたきっかけを教えてください。

山部: 花が好きだったのは、ずっと昔からなんです。 大学生の頃、なけなしのお金で買ったカメラを持って、よく花を撮りに行っていました。 兵庫県の姫路で学生時代を過ごしていたのですが、春になると姫路城の桜が本当に息をのむほど美しくて。 あの光景は今でも鮮明に覚えています。

「花って、こんなにも人の心を動かすんだ」 そう思った瞬間でした。

でもその頃の私は、看護師を目指していました。 将来が安定しているという理由で、両親も安心していたと思います。 ただ、国家試験に2年連続で1〜2点差で落ちてしまって…。 あの時の気持ちは、今思い出しても胸がぎゅっとします。

迷いも不安も大きかったけれど、花だけはいつも明るく照らしてくれました。 落ち込むことがあっても、花を見ると立ち上がれる。 その経験があったからこそ、ふと 「自分の好きなことを仕事にしたらどうなるんだろう」 と思えたんです。

その直感に背中を押されるように、後にお世話になる花屋さんへ面接に向かいました。


― 最初に働いたお花屋さんはどんな場所でしたか?

山部: 阪神西宮にある老舗の「大垣花店」です。 3代目の店長が私の師匠で、ここで花の基礎を徹底的に叩き込まれました。

毎日、自分が作る商品と店長が作る商品を並べて、客観的に見比べ続けていました。 正直、悔しい日が多かったです。 思い描いたものが形にならなかったり、なぜうまくいったのか言語化できなかったり。 花は正直で、誤魔化しがきかないんです。

でも店長は、そんな私の花にずっと向き合ってくれました。 「ここがいい」「ここが違う」 その一つひとつの言葉が、今の私の土台になっています。

3年少し働きましたが、あの時間がなければ今の私はいません。


― ブライダル装花の仕事もされていたそうですね。

山部: はい。Wワークでブライダル装花の会社でも働いていました。 そこでは、さまざまな結婚式場、さまざまなスタッフ、そしてさまざまな新郎新婦と出会いました。

実際に担当させていただいたお二人もいて、 「この日のために」 という想いを直接聞きながら花を作る経験は、私の中でとても大きな学びになりました。

現場は緊張感があります。 時間との勝負で、失敗が許されない。 でもその緊張感が“やりがい”に変わっていくんです。

「ずっとこの世界で働いていたい」 そう思ったのは、この頃でした。


― 「花の世界にぬまった」と表現されていましたが、その感覚はどんなものでしたか?

山部: もう、他の業界に興味が持てなくなってしまったんです。 花の世界に完全に心を奪われてしまったというか…。 花を触っている時間が一番自分らしくいられる。 そんな感覚でした。


― Fildaysの世界観が形になった瞬間はいつでしたか?

山部: 大垣花店でスワッグを制作していたときです。 完成した瞬間、「イメージに物語がついてくる」感覚があって。 その物語は“西洋のファンタジー”の空気をまとっていました。

「あ、これが私の世界だ」 そう自覚した瞬間でした。

そこからは、もう止まらなかったです。 “もっとつくりたい” “もっと表現したい” そんな気持ちが溢れてきました。


― Fildaysというブランド名の由来を教えてください。

山部: Fildaysは造語で、「Film」と「Days」をかけています。 映画や写真のように、自然を撮りたくなるような日常を過ごしてほしい。 そんな願いを込めました。

世界はきれいで、素敵で、輝いています。 でも、大人になるとその輝きに気づきにくくなることもありますよね。 だからこそ、花を通して“世界の輝き”を思い出せるような空間をつくりたいんです。

日常と物語(ファンタジー)が交差する場所。 それがFildaysの目指す世界です。


― 制作において大切にしていることは何ですか?

山部: 「物語性」と「花そのものの良さ」が伝わることです。 色は特に固定していなくて、テーマに合わせて幅広く使います。

“らしさ”が出るポイントは、 「そんな組み合わせあるの?!」と思わせる唯一無二のデザイン。 お客様の「素敵」を、想像を超える120%のデザインで表現したいと思っています。

意識しているのは、洗練さとクリエイティブ。 その両方を大切にしています。


― 最後に、Fildaysとしての未来の展望を教えてください。

山部: 未来の展望は、お客様が「花」を通じて、 見る世界が少しでも“素敵”になればいいと思っています。

私は、お客様の「好き」を引き出す案内人でありたいし、 フローリストとして、花を知る者として、世界をつくっていきたい。 Fildaysは、そんな想いを形にする場所であり続けたいです。

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